小さなお葬式「全国平均108万円→家族葬32.89万円~」は本当か?葬儀費用の比較方法を検証

お葬式の基礎知識
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小さなお葬式は自身で低価格を強調し、公式サイトでは「全国平均約108万円」に対して「家族葬32.89万円~」と表示しています。

どちらも根拠ある数字です。
しかし、約108万円は実際の葬儀費用をもとにした平均額で、32.89万円は資料請求割引を適用した一日葬の最低プラン価格です。

性質の異なる2つの数字を並べたとき、実際以上に価格差が大きく見えることはないのでしょうか。

今回の記事では、小さなお葬式の料金表示について、現役葬祭ディレクターの視点で検証します。

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小さなお葬式は「低価格」を訴求しているが・・・

「低価格」は、小さなお葬式がサービスを紹介する主要なキーワードです。
公式サイトでは、
「低価格ながら安心・明瞭のセットプラン」
「必要なサービスに絞り低価格を実現!」と案内しています。

ネット広告でも同じ傾向が見られ、Googleで「火葬式 大阪」と検索すると小さなお葬式の広告には「低価格の葬儀」という言葉が使われてトップに表示されます。

Googleで「火葬式 大阪」と検索すると「低価格の葬儀」と目立つ小さなお葬式の広告が表示される
Googleで「火葬式 大阪」と検索すると「低価格の葬儀」と目立つ小さなお葬式の広告が表示される(2026年10月1日)

ネット広告をトップに表示させるには多額の費用が必要です。
このようなサービスが本当に他の葬儀社よりも同様の内容で低価格なのでしょうか?

「全国平均約108万円→家族葬32.89万円~」は何を比較している?

小さなお葬式の全国平均約108万円と家族葬32.89万円、直葬9.79万円を比較した公式料金表示
小さなお葬式公式サイトの料金比較表示(2026年10月1日閲覧)

公式サイトでは「全国平均約108万円の葬儀費用を適正価格に見直しました」と表示し、
家族葬32.89万円~
直葬9.79万円~
このような表示では「約108万円かかる葬儀を、小さなお葬式なら32万円台からできる」と受け取る方が多いのではないでしょうか。
ここで重要なのは約108万円と32.89万円が同じ条件なのかという点です。

「全国平均約108万円」はどのような費用?

この「全国平均約108万円」は何を根拠にした数字なのでしょうか。
この「全国平均約108万円」だけを見ると、日本の葬儀では一般的に108万円程度かかるように感じるかもしれません。
しかし、この約108万円は調整された金額です。

引用データは日本消費者協会の調査

小さなお葬式が根拠にしているのは、一般財団法人日本消費者協会の「第12回 葬儀についてのアンケート調査報告書」で、2021年8月~12月に実施され、2022年3月に報告書が発行されています。(jca-home.jp)
調査結果の抜粋によると「2020年~」に行われた葬儀の葬儀一式費用の平均は111.9万円でした。(seikatsu-sc.jp)

葬儀一式費用には、

  • 病院などからの搬送
  • ご遺体の安置
  • 祭壇と飾り付け
  • 会場・祭壇設営
  • 会葬礼状(供養品は接待費)
  • 霊柩車・ハイヤー
  • 斎場使用料
  • 火葬費用

などが含まれています。

飲食接待費は12.2万円、寺院などへのお布施・謝礼は42.5万円で、葬儀の総費用として回答された平均額は161.9万円でした。(seikatsu-sc.jp)

つまり、111.9万円は「家族葬の平均」ではなく、一般葬や火葬式を含む実際に支払われた葬儀一式費用を平均した数字です。
平均値は一部の高額な葬儀によって引き上げられることがあります。
【関連記事】葬儀費用96万円は平均ではなく中央値|平均との違いと本当の相場を解説

108万円は小さなお葬式が調整した数字

小さなお葬式の公式サイトの注釈には、

日本消費者協会「第12回 葬儀についてのアンケート調査報告書(2022年3月)」の報告金額から小さなお葬式の平均火葬費用を除いた金額

小さなお葬式公式ホームページより(osohshiki.jp)

つまり、日本消費者協会の調査による111.9万円から、小さなお葬式を利用した火葬費用の平均を差し引いて約108万円として表示しています。
小さなお葬式の家族葬32.89万円~も火葬料金が別だからだと考えれば、比較条件を近づける意図は理解できます。

ただし、約108万円は実際に行われた葬儀一式費用の「平均額」ですが、32.89万円は割引を適用した「プランの最低価格」です。

それでは32.89万円の家族葬プランには具体的に何が含まれているのでしょうか。

家族葬32.89万円~では何ができる?

小さなお葬式では、家族葬 32.89万円~と大きく表示されています。
これは通夜を省き告別式だけを1日で行う「一日葬プラン」の最低価格です。

小さなお葬式の公式サイトでは「家族葬」というカテゴリーで

  • 一日葬プラン:32万8,900円~
  • 二日葬プラン:43万8,900円~
  • 一般葬プラン:60万3,900円~

の3つを掲載しています。
通夜・告別式を行う家族葬を希望する場合は、最低価格が43万8,900円~になります。
さらに、32万8,900円には条件があることです。

一日葬プランの通常価格は税込43万8,900円ですが、事前に無料資料請求をすると10万円(税抜)の割引が適用され税込32万8,900円になります。
つまり、大きく表示されている価格は、誰でも無条件で利用できる通常価格ではなく、資料請求をした割引価格です。

また、小さなお葬式プランの内容について、下記のような指摘は少なくありません。

窓口では、40万で2日葬が出来て全てついているので、大丈夫です。と言いますが、ついているのは、祭壇、木箱のままの棺桶、火葬場までの車も霊柩車ではない車、その他です。
営業はこれでも全然お見送り出来るんですよ。と言いながら、身体を綺麗に保ってあげないと等と言って、その金額を伝えてきます。今の金額は、霊柩車じゃないと打ち合わせで知り、結局どんどんプラスされて、これだったらセットプランの120万の方がおすすめですよ。と言います。

みん評>小さなお葬式の口コミ

一番安いプランはほぼ何も付いていないと思った方がいい。
自宅で亡くなったので検視の際服を切断したので、戻って来た際服を着ていなかったのですが、一番安いプランだと裸のまま納棺になると言われ信じられない気持ちでいっぱいでした。
なので一番安いプランは諦め次のプランもほぼ似たような物。
結果下から3番目のプランで100万超えでした。

みん評>小さなお葬式の口コミ

「約108万円」と「32.89万円」は同じ条件で比較できる?

ここまで確認した内容を整理すると、

  • 約108万円は、実際に行われた葬儀費用をもとにした平均額
  • 32.89万円は、一定条件を満たした場合のプランの最低価格

つまり、2つの数字は性質が違います。
32.89万円はプラン価格なので、利用者の希望や安置日数、オプションで葬儀費用は変わります。

平均額とプラン価格を並べれば、価格差が大きく見える可能性があります。

小さなお葬式を実際に利用した人は、最終的にいくら支払っているのでしょうか。
最低プラン価格と実際の支払額には、どの程度の差があるのかを口コミから確認してみます。

プラン価格から費用が増えた事例

口コミサイト「みん評」では当初想定していた金額から費用が増えたという投稿が複数あります。

値段32万は嘘 100万を超えます。営業の話しも嘘だらけ。供花を追加とかエンバーミングとか、必要のない物ばかり追加させようとします。現場を全く分かってない営業です。

みん評>小さなお葬式の口コミ

資料請求して最低限ので見積もってもらったのですが、実際話を進めていくと、葬儀までの日数が長く、夏だから故人がこうなる可能性がみたいな話しされ、なんかやった方がいいような話に持っていき、お手入れだけを追加しようかと思ったらできずプランを上げていくしかないというオチ、40万くらいだと思っていたのに、結局200万超えに。

みん評>小さなお葬式の口コミ

ほかにも、

  • 40万円程度を予定していたが、上位プランとなり80万円になった
  • 60万円程度のプランから110万円へグレードアップした
  • 150万円を提示され、オプションなどを減らして62万円まで下げた

このような口コミが確認できます。
必要最低限を希望していたものの、最終的に「パンフレットのキッチリ2倍の値段になりました」という投稿もありました。

これらはあくまで個々の利用者による体験で、これらの事例で「小さなお葬式では32万円の葬儀が必ず100万円以上になる」と判断できません。
低価格で済むケースと費用が増えるケースの両方があり、プラン価格だけでは実際の支払額を判断できません。
利用時の注意点については、別の記事で詳しく検証しています。
【関連記事】小さなお葬式は最悪?現役葬祭ディレクターが口コミから見える注意点と対策を解説

また、グループ企業が運営する小さなお葬式ホールが対応することもありますが、担当者からの提案や追加サービスなどで高額になったという事例があります。
【関連記事】・直営の小さなお葬式ホールが高い理由と追加費用の仕組み
      ・「小さなお葬式ホール」合併で高額請求リスクは?

数字が正しくても表示方法で印象は変わる

上記の通り「約108万円」と「32.89万円」は同じ性質の数字ではありません。

小さなお葬式の全国平均約108万円と家族葬32.89万円、直葬9.79万円を比較した公式料金表示
小さなお葬式公式サイトの料金比較表示(2026年10月1日閲覧)

上記の画像を見ると「一般的には約108万円かかる葬儀を、小さなお葬式なら32万円台でできる」という印象を持つ方が多いのではないでしょうか?

画像の注釈には小さく資料請求割引価格であることなども記載されています。
しかし、広告を見るすべての人が細かな条件まで確認してから、2つの数字を比較するとは限りません。

過去には「112万円→7.9万円」でも同じ指摘があった

全国平均112万円の葬儀費用と小さなお葬式7.9万円プランを比較した公式ホームページの画像
画像引用元:佐藤信顕氏(@satonobuaki)X投稿、2024年3月21日
元資料:小さなお葬式の料金比較表示

小さなお葬式では以前に
「全国平均112万円の葬儀費用を徹底的に見直しました」という表示とともに、7.9万円の直葬プランを紹介していました。

この価格比較について、葬祭業界について情報発信している佐藤信顕氏は、2024年3月21日のXで、全国平均の葬儀と最小限の直葬を比較している点を指摘しています。

当時は「112万円」と「7.9万円」
現在は「約108万円」と「32.89万円」に変わりました。
比較する葬儀形式は近づいていますが、
平均的な葬儀費用と並べて自社の低価格プランを配置するという見せ方は共通しています。

「数字が嘘だ」と言いたいわけではありません。
数字が正しくても、どのように見せるのかにより利用者が受ける印象は変わるということです。
葬儀は普段から価格を比較するサービスではありません。
だからこそ、企業が価格をどのように表示するのか考える必要があるのではないでしょうか。

葬儀広告にも「価格比較のルール」が必要

小さなお葬式が景品表示法に違反していると主張するつもりはありません。

しかし、消費者庁は比較広告について、消費者が商品やサービスの内容、取引条件を適切に比較できる具体的な情報を提供することが望ましいとしています。
一方で、不公正な基準で比較するなど、消費者の適正な商品選択を妨げる比較は、不当表示に該当するおそれがあるとしています。

全国平均約108万円と家族葬32.89万円という表示を考えると、少なくとも次の3点を分かりやすくする必要があるのではないでしょうか。

「平均額」で条件を合わせる

ここまで見てきたように、平均額とプラン価格では数字の性質が異なります。

全国の平均額と比較するのであれば、小さなお葬式も利用者の平均支払額を示す方が、実際の価格差を判断しやすくなります。

同じ葬儀形式で比較する

一日葬なら一日葬、火葬式なら火葬式など、同じ条件で比較する。

一般葬や直葬などが混在した平均額と、一定条件でのプラン価格を比較すれば、価格差だけが強く印象に残る可能性は高くなるでしょう。

重要な条件を小さく注釈しない

資料請求割引、追加サービスなど、最終的な費用を左右する条件があります。
利用条件が分かりやすく表示されれば、「自分の場合はいくらになるのか」判断しやすくなります。

先月の記事で「家族葬10.45万円~」という表示をめぐり、消費者庁が小さな森の家を運営する金宝堂に措置命令を行った事例を紹介しました。
表示方法と実際の利用条件との違いが問題でした。

こちらの記事で海外の葬儀料金の表示や規制について詳しく紹介しています。
【関連記事】小さな森の家に消費者庁が措置命令|葬儀広告「○万円~」表示に潜む問題と高額請求を防ぐ対策

このように誤解を招くような広告は後を絶ちません。
葬儀は日常的に価格を比較するサービスではありません。
葬儀業界にも、利用者が同じ条件で料金を比較できる表示ルールが必要な時期と考えています。

利用者側にも「葬儀リテラシー」が必要

一方で、料金表示のルールだけですべての問題が解決するわけではありません。

以前の記事をXで紹介した際「一般消費者にお葬式リテラシーがなさ過ぎるのが問題」という意見をいただきました。

私も同意する部分があります。
「家族葬32.89万円~」と表示されていても最終的な総額とは限りません。

利用者側も、

  • 「~」は最低価格ではない
  • プランに何が含まれているのか
  • 自分が希望する葬儀では総額いくらになるのか
  • 追加で提案されたサービスは本当に必要なのか

上記を確認する必要があります。

特に葬儀では、家族が亡くなってから短時間で葬儀社を決めるケースも多く、普段の買い物のように何社も比較してじっくり検討することが難しい場合があります。

だからこそ、企業側には分かりやすい料金表示を求め、利用者側も最低価格だけで判断しない。

どちらも必要で、利用者に知識がないことを理由に、分かりにくい料金表示が許されるわけではありません。
情報量では葬儀社が優位になるので、利用者リテラシーの向上と同時に、誰が見ても比較しやすい価格表示にしていくことが重要だと考えます。

まとめ|問題は32.89万円ではなく「何と比較しているか」

小さなお葬式の家族葬32.89万円という表示は間違っていません。
対応する葬儀社やプラン内容などの条件次第で、追加費用なしで一日葬を行うことはできるかもしれません。

「全国平均約108万円」と「家族葬32.89万円~」を、同じ条件で比較しているように見えないかという点が問題です。
葬儀サービスを金額で比較する際は、
「安いか高いか」ではなく「何を比較しているのか」を確認することが重要です。
事業者側にも利用者が同じ条件で比較できる料金表示が求められるのではないでしょうか。

葬儀は突然必要になることがあります。

葬儀社の分かりやすい表示方法と、利用者側の葬儀リテラシー。
この両方があってこそ利用者が表示価格に惑わされず、自分に合った葬儀社を選べるようになると私は考えます。

※この記事はGoogleマップなどに掲載された内容(2026年10月時点)を参考に執筆しています。
口コミはあくまで個人の感想であり、すべての方に当てはまるものではありません。
小さなお葬式の運営に携わる方で記事について誤りなどご指摘がございましたら修正致しますのでご連絡ください。

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