葬儀費用の相場を調べて、「思ったより高い」と不安になったことはありませんか?
ネット上では葬儀費用の相場としてさまざまな金額が紹介されていますが、その数字が「平均」なのか「中央値」なのかで意味は大きく変わります。
2026年の調査で公表された葬儀費用96.73万円は平均ではなく中央値です。
中央値は実態に近い相場感を知るうえで参考になりますが、「誰でも96万円で葬儀ができる」という意味ではありません。
葬儀形式、参列人数、飲食費、返礼品費、お布施、追加オプションによって実際の費用は変わります。
この記事では、現役葬祭ディレクターの視点から、平均と中央値の違い、96.73万円の意味、そして葬儀費用で後悔しないための考え方を解説します。
「平均」と「中央値」の違い
私たちが目にする平均とは、一部の極端なデータに引っ張られて、現実と大きくかけ離れることがあります。
この違いを、より身近な「貯蓄額」の例で解説します。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、
貯蓄額の「平均」と「中央値」には、以下のような大きな乖離(かいり)があります。
【データ:二人以上世帯の貯蓄額】
- 平均値: 1,291万円
- 中央値: 400万円
いかがでしょうか?
「平均」は1,000万円を超えているにもかかわらず、
大多数の世帯の実態を示す「中央値」は、その3分の1以下に留まっています。
このように、一部の突出したデータが平均値を大きく歪めてしまうのです。
2026年調査の96.73万円は平均ではなく中央値
平均と中央値の違いを理解したうえで、今回の記事で特に注意したいのが、鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)」の葬儀費用です。
この調査では、葬儀費用の総額が 96.73万円 とされています。
ただし、この96.73万円は平均ではありません。
鎌倉新書の発表では、葬儀費用について第7回調査までの調査結果を 中央値で再集計 したと説明されています。
つまり、96.73万円は「全員の葬儀費用を足して人数で割った平均額」ではなく、葬儀費用を低い順または高い順に並べたときの真ん中に近い金額と考えるべきです。
ここを間違えると、
- 最近の葬儀費用の平均は96万円くらい
- 2024年の平均118.5万円より安くなった
- 100万円あれば一般的な葬儀ができる
と誤解してしまう可能性があります。
しかし、2026年調査の96.73万円は中央値です。
2024年調査の平均額118.5万円と単純に比較して、「葬儀費用が下がった」と判断するのは適切ではありません。
同じ葬儀費用の調査でも、平均で見るのか中央値で見るのかによって数字の意味は変わります。
96.73万円の内訳
葬儀費用96.73万円の内訳は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
| 基本料金 | 72.02万円 |
| 飲食費 | 11.67万円 |
| 返礼品費 | 13.03万円 |
| 総額 | 96.73万円 |
基本料金とは、飲食費や返礼品費を除いた葬儀を行うための費用です。
葬儀社のプラン料金、つまり祭壇、棺、遺影写真、搬送車、安置室、ドライアイス、式場使用料、火葬料金、霊柩車、スタッフ費用などが基本料金に含まれます。
また、湯灌やエンバーミング、棺や祭壇のグレードアップなど、料理・返礼品以外のオプションを追加した場合も基本料金に含まれます。
一方で、飲食費と返礼品費は参列人数によって大きく変わります。
家族だけで葬儀を行い、通夜振る舞いや精進落としなどの食事を省き、返礼品も用意しない場合は、飲食費と返礼品費を抑えることができます。
この場合、葬儀社に支払う費用は総額の96.73万円ではなく、基本料金の約72万円に近づけることが可能です。
72.02万円は最低価格ではありません。
あくまで中央値です。
式場使用料、安置日数、搬送距離、祭壇や棺のグレード、湯灌やエンバーミングなどの遺体処置によって、実際の総額は変わります。
お布施は含まれない
上記の費用には、お布施など宗教者への謝礼は含まれていません。
葬儀にあたって困ったこととして「お布施の相場が分からない」という声はよく耳にします。
家族だけで飲食費や返礼品費を省いても僧侶などの宗教者を招いて葬儀を行う場合には、葬儀費用と別にお布施が必要になります。
葬儀形式別の中央値と基本料金の差
どの葬儀形式を選ぶかにより葬儀費用は大きく変わります。
| 葬儀形式別 | 中央値 |
| 全体 | 96.73万円 |
| 一般葬 | 122.01万円 |
| 家族葬 | 96.39万円 |
| 一日葬 | 74.43万円 |
| 火葬式 | 49.56万円 |
上記の金額は基本料金だけではなく、飲食費・返礼品費などを含んだ総額の中央値です。
家族葬は全体の中央値に近い
家族葬の中央値は96.39万円です。
これは全体の中央値96.73万円とほぼ同じ水準です。
現在は家族葬を選ぶ方が多いため、全体の中央値は家族葬に近い金額になっていると考えると分かりやすいでしょう。
家族葬でも祭壇や棺などをグレードアップしてオプションを追加すれば、葬儀費用は一般葬よりも高くなることもあります。
総額と基本料金を分けて考えることが大切
葬儀費用は総額と基本料金を分けて考えることが大切です。
家族だけで行い料理や返礼品を省く場合は、葬儀費用を基本料金に近づけることが可能です。
全体の96.73万円の基本料金は最初に挙げた約72万円です。
基本料金とは「葬儀社のプラン+オプション」になります。
担当者が「一般的」「普通は~」などの言葉で提案する金額に注目しましょう。
基本プランは44万円でしたが、説明の際に案内されたオプションパックを追加した結果、最終的な費用は当初の約4倍になりました。参列者は12名で、会食は行わず、お寺の手配は遺族側で行いました。
みん評>小さなお葬式の口コミ・評判
このような葬儀社は割高かもしれないと考えることができます。
葬儀社のプラン料金だけでなく、オプションの費用も含めて基本料金の妥当性を判断しましょう。
葬儀費用は基本料金だけで決まることもあれば、飲食費や返礼品費も含まれることもあります。
葬儀費用を比較する際には金額だけでなく内訳まで確認しなければ判断できません。
【後悔しないための】葬儀費用を安く抑える3つのポイント
ポイント1: 複数の葬儀社を比較する
複数の葬儀社から見積もりを取ることが、費用を抑える上で最も効果的です。
この相見積もりの方法は、葬儀の相見積もりで抑える3つのポイントで解説しています。

同じ火葬式でも葬儀社によりプラン金額と内容は大きく異なります。
ドライアイス・安置室などの日延べに関する費用は葬儀社による差が大きい項目です。
火葬待ちの時期では、相見積もりで費用を大幅に抑えることができることがあります。
ポイント2: 費用と内容を明確にする
葬儀社との打ち合わせでは、必ず予算の上限を伝え、見積書は細部まで確認しましょう。
何度でも申し上げます。ネット系葬儀紹介会社を介すると下請け葬儀社から供花からお弁当に返礼品まで全ての売上の5割以上剥ぎ取ります。実際にネット系葬儀紹介会社を介した葬儀社から伺った話。「利益残るの?」って聞いてみたら「雀の涙、蟻の糞程度」だそうで。請け負った葬儀社の社員。壊れます。 https://t.co/DOY4sjQHu8 pic.twitter.com/QFBk5VwR8Y
— 本多崇興_Takaoki_Honda@Renkouji-Yokohama.com (@JZ1300) August 11, 2025
上記の見積書のように、葬儀社の言いなりになる遺族は徹底的に高額請求を謀られます。

葬儀サービスのアイテムは見慣れない用語が多く、
葬儀社の言うがまま従うと高額請求で後悔するかもしれません。
以下の2点は確認してください。
- プラン内容: どこまで含まれているのか?(例:搬送費、安置費は追加で生じるのか?)
- オプション費用: 何を追加すると費用が増えるのか?(例:ドライアイス代は1日分か、2日目以降は追加費用か?)
不明な項目は確認して、不要なアイテム・サービスは省くことが大切です。
葬儀社の言うがままにならないためには、【現役葬祭ディレクターが警告】悪徳葬儀社に騙されないための5つのチェックポイントをご確認ください。
ポイント3:格安プランを検討する
火葬式の中央値でも約50万円であり、貯蓄がなければ捻出できない金額です。
上記で挙げた「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると貯蓄のない世帯は、全体の約30%だそうです。

個人的には、葬儀費用をカードローンなどの借金で賄うことはオススメしません。
借金しない範囲でお見送りしてください。
貯蓄がなければ格安な葬儀プランを利用しましょう。
格安の葬儀プランについては10万円以下の格安葬儀の注意点とトラブルを防ぐ方法を参考にしてください。
まとめ|葬儀費用は中央値と内訳で判断する
葬儀費用を調べると、「平均はいくら」「相場はいくら」という情報が多く出てきます。
しかし、葬儀費用を考えるときに大切なのは、平均額だけを見て判断しないことです。
平均は一部の高額な葬儀に引っ張られることがあります。
そのため、実際の費用感を知るには中央値も確認する必要があります。
また、中央値は「基本料金」「飲食費」「返礼品費」で構成されて「お布施」は含まれていません。
家族だけで葬儀を行い料理や返礼品を省く場合は、葬儀費用の総額は基本料金に近づく可能性があります。
基本料金も葬儀社によって内容が異なります。
葬儀社から、
「平均はこれくらいです」
「普通はこのくらいです」
「皆さん選ばれています」
と説明されたとしても、その金額が自分たちに適切な葬儀費用とは限りません。
大切なのは、数字に不安をあおられることではありません。
必要な内容を整理し、不要なものは断り、納得できる金額で故人を見送ることです。
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