葬儀費用の平均を調べたら「思ったより高い…」と思ったことありませんか?
もし、故人様やご遺族に貯蓄がなければ、平均であっても高額に感じられ、葬儀費用が支払えないのでは…と不安に思う方も少なくありません。
実は、ネットなどで目にする平均費用には、ある落とし穴があります。
今回の記事では、現役の葬祭ディレクターである私の視点から、本当の相場を知るための「中央値」の重要性を解説します。
火葬式、家族葬、一般葬それぞれの最新データ(2024年版)を基に、後悔しないための費用や予算の考え方を紹介します。
葬儀費用の「平均」と「中央値」はなぜ違うのか?
私たちが目にする平均値は、一部の極端なデータに引っ張られて、現実と大きくかけ離れることがあります。
この違いを、より身近な「貯蓄額」の例で見てみましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、貯蓄額の「平均」と「中央値」には、以下のような大きな乖離(かいり)があります。
【データ:二人以上世帯の貯蓄額】
- 平均値: 1,291万円
- 中央値: 400万円
いかがでしょうか?
「平均」は1,000万円を超えているにもかかわらず、大多数の世帯の実態を示す「中央値」は、その3分の1以下に留まっています。
このように、一部の突出したデータが平均値を大きく歪めてしまうのです。
葬儀社が中央値を使わない理由
なぜ多くのメディアや葬儀社が、実態に近い中央値ではなく、平均値を利用するのでしょうか?
その理由の一つとして、見せかけの「高額な相場感」を提示することで、私たちの予算感覚を無意識に引き上げようとする意図があるのかもしれません。
葬儀社も収益を維持・向上させるため、高額なオプションやプランを選んでもらいやすいように、平均値を前面に出す傾向があります。

しかし、大多数の人が実際に支払っている費用、つまり「中央値」が本当に参考になります。
葬儀費用で後悔しないためには、この平均と中央値の乖離を理解し、冷静に判断することが大切です。
葬儀社の「一般的には~」「普通は~」と言う提案でなく、あなた自身の予算を重視しましょう。
【最新データ】葬儀形式ごとの「平均」と「中央値」を比較
どのような葬儀形式を選ぶかにより、葬儀費用は大きく変わります。
ここでは、葬儀形式ごとに平均と中央値がどれくらい違うのかを、最新のデータ(2024年版)で見ていきましょう。
| 葬儀形式 | 平均費用 | 中央値(※) |
|---|---|---|
| 家族葬 | 約118.5万円 | 約78.5万円 |
| 一日葬 | 約51.2万円 | 約42.6万円 |
| 火葬式 | 約42.8万円 | 約25.4万円 |
(※)鎌倉新書の調査における中央値は、厳密な統計学的な数値ではなく、アンケート結果で「最も回答数が多かった価格帯」を指します。
火葬式は中央値こそが実態?
特に「火葬式(直葬)」では、平均と中央値の乖離が約17万円もあります。
これは、一部の方が豪華なオプション(高価な棺、寝台車でなく霊柩車、湯灌など)を選んだケースが平均値を押し上げているからでしょう。
本当に必要なものだけを選べば、中央値に近い金額で葬儀を執り行うことができます。
【後悔しないための】葬儀費用を安く抑える3つのポイント
「中央値でも貯蓄がないので払えない…」
もしそう感じたとしても、費用を抑える方法はあります。
ポイント1: 複数の葬儀社を比較する
複数の葬儀社から見積もりを取ることが、費用を抑える上で最も効果的です。
この相見積もりの方法は、葬儀の相見積もりで抑える3つのポイントをご参照ください。

同じ火葬式でも、葬儀社によりプラン金額は大きく異なります。
ドライアイス・安置室などの日延べに関する費用は葬儀社による差が大きい項目です。
ポイント2: 費用と内容を明確にする
葬儀社との打ち合わせでは、必ず予算の上限を伝え、見積書は細部まで確認しましょう。
何度でも申し上げます。ネット系葬儀紹介会社を介すると下請け葬儀社から供花からお弁当に返礼品まで全ての売上の5割以上剥ぎ取ります。実際にネット系葬儀紹介会社を介した葬儀社から伺った話。「利益残るの?」って聞いてみたら「雀の涙、蟻の糞程度」だそうで。請け負った葬儀社の社員。壊れます。 https://t.co/DOY4sjQHu8 pic.twitter.com/QFBk5VwR8Y
— 本多崇興_Takaoki_Honda@Renkouji-Yokohama.com (@JZ1300) August 11, 2025
上記の見積書のように、葬儀社の言いなりになる遺族は徹底的に高額請求を謀られます。

葬儀サービスのアイテムは見慣れない用語が多く、葬儀社の言うがまま従うと高額請求で後悔するかもしれません。
以下の2点は確認してください。
- プラン内容: どこまで含まれているのか?(例:搬送費、安置費は追加で生じるのか?)
- オプション費用: 何を追加すると費用が増えるのか?(例:ドライアイス代は1日分か、2日目以降は追加費用か?)
不明な項目は確認して、不要なアイテム・サービスは省くことが大切です。
葬儀社の言うがままにならないためには、別記事【現役葬祭ディレクターが警告】悪徳葬儀社に騙されないための5つのチェックポイントをご確認ください。
ポイント3:格安プランを検討する
火葬式の中央値でも約25万円であり、貯蓄がなければ捻出できない金額です。
上記で挙げた「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると貯蓄のない世帯は、全体の約30%だそうです。

個人的には、葬儀費用をカードローンなどの借金で賄うことはオススメしません。
借金しない範囲でお見送りしてください。
貯蓄がなければ格安な葬儀プランを利用しましょう。
格安の葬儀プランについては10万円以下の格安葬儀の注意点とトラブルを防ぐ方法を参考にしてください。
まとめ
葬儀費用を考えるとき、私たちが目にする「平均値」には、実態とかけ離れた数字が含まれていることがあります。
本当に大切なのは、大多数の人が支払っている「中央値」に注目し現実的な予算を立てることです。
今回の記事が、あなたの不安を少しでも和らげて、故人様と向き合う一助になれば幸いです。
後悔のないお別れの方法で、疑問や不安があれば、遠慮なく私たちのような葬儀の専門家にご相談ください。
疑問や不安の他にも、ご意見・ご指摘などはお問い合わせフォーム、下記のコメント欄からお願いします。



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