大阪北摂霊園の樹木葬について

永代供養

樹木葬は人気が高い供養の形です。
最近では、多くの寺院や霊園でも見かけることができます。

公営霊園の大阪北摂霊園にも樹木葬エリアは整備されています。
こちらの樹木葬は、近隣にある霊園とはコンセプトが異なります。
とても興味深いでしたので、現地で見学をしてきました。

今回は大阪北摂霊園の樹木葬について解説します。

  • 永代供養に興味がある
  • 樹木葬を検討している
  • 樹木葬はどこでも同じでは?

上記のような方に参考にしてもらえれば幸いです。

大阪北摂霊園とは?

大阪北摂霊園の入口

大阪北摂霊園とは、総面積は983,000㎡あり「公益財団法人大阪府都市整備推進センター」が運営する公営霊園です。
「明治の森箕面国定公園」に隣接して、豊能町、箕面市、茨木市にまたがり自然豊かな環境にあります。
この霊園は北摂地域の墓地需要に対応するために、大阪府により整備され1973年(昭和48年)に開園しました。
戦後の高度成長期において、都市化現象が進み日本初の千里ニュータウンが開発され、北大阪エリアの急激な人口増加に対応するため大型の霊園が必要とされ開発されたそうです。

住所は大阪府豊能郡豊能町高山235です。
開園時間は年中無休で午前9時から午後5時になります。
閉園時間は正面のゲートが閉じられるので、お参りは開園時間内に行いましょう。

樹木葬だけでなく、一般墓、合葬式墓地、使用期間限定墓地もあり、時代のニーズに合わせた取り組みをされています。
合祀墓については、大阪の公営霊園で永代供養をする方法で取り上げています。

園内にあるバス停の時刻表

近隣に駅はなく、車かバスなどを利用しなければなりません。
バスは阪急電鉄千里線「北千里駅」、北大阪急行電鉄(地下鉄御堂筋線直結)「千里中央駅」もしくは「箕面萱野駅」から利用できます。
平日は1日3便、土曜日・日曜日・祝日は1日6便なので、時間には注意しましょう。

樹木葬とは?

樹木葬とは従来の墓石でなく、文字通り樹木を墓標にして遺骨を埋蔵してお参りするお墓の形態です。
遺骨を埋蔵した場所に還すので、後継者・管理費が不要になります。
埋蔵した遺骨の管理は、霊園の運営者に任せます。
一般的なお墓の平均額が165万円に対して、樹木葬の平均額は70万円です。
安価で済むことが多く、最近では従来のお墓と並ぶほど注目が高まっています。

樹木葬の種類

樹木葬は多くの場所で見かけることができますが、大まかに分けて2種類に分けることができます。

里山型

自然豊かな場所にあることが多く、都市部にはありません。
自然豊かな環境を活かした場所を墓地としています。
従来からある樹木の元に遺骨を埋蔵したり、地域に合わせた樹木を植えて墓標とします。
自然豊かな場所にあるために、交通の便が悪いことがあります。

都市型

一般的な樹木葬のイメージとなる型です。
従来の墓地に併設されることが多く、大きい墓石や墓誌が不要で少ない面積で提供できます。
アクセスの良い霊園を選択すれば、気軽にお参りすることができます。
寺院や霊園に樹木葬エリアとして設置できるので、多くの場所から選択することができます。
桜やカエデなどのシンボルツリーの元に、家族や故人の名前を刻んだ墓石を設置して、従来のお墓のような感覚でお参りすることができます。
最近ではシンボルツリーがなく、芝生に名前を刻んだ墓石を設置する形態も増えています。

大阪北摂霊園の樹木葬

大阪北摂霊園の樹木葬エリアは「北摂の樹木葬 木もれびと星の里」として提供されています。
2021年(令和3年)から募集が開始されました。
ホームページには以下の説明があります。

関西初、ドイツ型樹木葬

それは、自然に還るという生き方
理想は、この森のすべてがお墓になり、本当の意味で自然に還ることができる墓園。
森林大国ドイツでは、お墓参りはピクニックにという考えのもと、美しい森が維持されています。
森の木々をそのまま墓標として利用し、その根元のまわりにご遺骨を個別に埋葬する新しいカタチの樹木葬です。
ご遺骨は、やがて土に還り、木となり、花を咲かせ、実をつけ、大自然の一部として生き続けます。

大阪北摂霊園のホームページ ホーム>樹木葬

特徴は開園後の100年後・2121年3月31日に墓所使用権が消滅することです。
開園してから50年間後の2071年3月31日までは、お参りがしやすいように、献花台と園路の保守整備を行い、枝払い・下草の除草などの山林管理を行います。
以降の50年間は、園路は封鎖され埋蔵はできますが、献花台からお参りするだけになります。
枝払いなどの山林の保全は霊園が行います。
2121年4月1日以降は、埋蔵された遺骨とともに原生林へと遷移を進めます。

ドイツ型樹木葬とは、「森をお墓」として「遺骨を自然に還す」ことです。
ドイツ型樹木葬は里山型と似たコンセプトであることが分かります。

大阪北摂霊園は森の中にあり、近隣に民家はありません。
霊園の敷地は山の形状を活かして整備されています。
敷地内の従来からある山林の一部を、樹木葬エリアとして整備したようです。

大阪府にある樹木葬霊園の多くは都市型です。
大阪府の霊園の樹木葬について調べましたが、北摂霊園以外に里山型はありませんでした。
里山型樹木葬と同様の施設がありましたが、登録商標されているので今回の記事では挙げません。

現地の様子

樹木葬エリアは合葬式墓所の周辺にあります。
森に棲む動物が侵入できないようにフェンスが設置されています。
動物が埋蔵した場所を通ったり、遺骨が掘り出されないよう配慮されています。

合祀墓と樹木葬エリア
右側の建物が合葬式墓地で周囲が樹木葬エリアになります。
樹木葬エリアの入口にある柵
「お願い! 扉は閉めてお帰りください。イノシシ・シカが入ってきます!」と記載されています。
野生動物が侵入できないよう配慮されています。
エリア内の様子

元からある樹木やエリアに合わせた樹木を植えて墓標にしています。
自然豊かな木々とウッドチップが敷かれた参道は、墓地であると認識することは困難です。

埋蔵された方の名前が刻まれている記名版が、樹木に取り付けられているので墓地と分かります。

参道と埋蔵エリアが枕木で仕切られています。
元からある樹木の元に遺骨を埋蔵しています。枕木で埋蔵エリアと仕切られています。
新しい樹木を植えて墓標にしています
周囲に合わせた樹木を植えて墓標にしています。柵で立ち入ることはできないよう配慮されています。
「埋葬されている方が安らかに眠れるようご配慮ください」と記載された表示版

参道と埋蔵エリアは柵や枕木で仕切られているので、誤って踏み入れることがないようにされています。
埋蔵エリアと分かるように、表示板が設置されています。

区画の種類

3種類の埋蔵方法を採用されています。
最初に納めた費用に、遺骨の埋蔵料、山林管理料が含まれています。
ただし、埋蔵した樹木が枯れても「植え替え」は行いません
切り株が残されて墓標として利用されます。
山林管理料は下草の伐採や参道などの維持管理にあてられます。
埋蔵した遺骨の返還はできません

占用型

好きな樹木を墓標として選び、1家族で使用します。(名称は「木だち」)
エリアは異なりますが、ペットも一緒に眠れる区画(名称は「木々の風」)もあります。

金額は
65万円~120万円
ペット供葬専用型は145万円~160万円
記名版のオプションは33,000円(1枚)

共用型

好きな樹木を墓標として選び、個人単位で契約します。(名称は「木もれび」)
1本の樹木は10人程度埋蔵できます。
夫婦や友人同士で同じ場所に眠りたいと希望する方にオススメのようです。
空きスペースがあれば他人も同じ木の周りに埋蔵されることもあります。
住居で例えると「占用型は一軒家」で「共用型は分譲マンション」になるのではないでしょうか。

金額は一人30万円
記名版のオプションは33,000円(1枚)

集合型

集合型エリアの献花台からの風景。
階段の奥が集合型エリアです。階段に設置された掲示板に名前を刻んだ記名版を設置することもできます。手前の献花台でお参りをします。

最も安価なプランです。(名称は「天の川」)
専用エリアでは間伐した杉林に杉以外の植物を育てて、100年後に新たな森に生まれ変わるよう整備していきます。
森の中にある専用エリアの区画に順番に個別に埋蔵します。
自分で埋蔵する場所を選ぶことはできません。

樹木葬の合祀墓といえば分かりやすいでしょう。
一般的な合祀墓では、不特定多数の方の遺骨を屋内もしくは屋外の人工的な施設におさめます。
こちらのプランは最終的に森に還ることを目的としています。

金額は一人16万円
記名版のオプションは33,000円(1枚)

注意すること

埋蔵できる樹木ある案内板

現在でも申し込めるのは、「共用型」と「集合型」だけです。
「占用型」は完売して、現在は新たに整備しているそうです。

霊園の事務所で書類を記入すると、「占用型」の募集が始まると案内を受けることができるそうです。

最後に

樹木葬は人気があるので、様々な場所で整備されています。
色々な樹木葬を見学してきましたが、霊園ごとに特徴がありました。

大阪北摂霊園の樹木葬は、山の中にあるので気軽にお参りに行くことは難しいかもしれません。
いつもきれいな花に囲まれている霊園を期待している方には向いていません。
しかし、自然豊かな場所で眠りたい方には最適な場所であると実感できます。

お墓に何を求めるかで、どこを選択するか見えてくるのではないでしょうか?
自分だけの価値観で決めることは難しいかもしれません。
一般的なお墓を否定するつもりはありません。
しかし、維持管理や後継者の問題を考えると樹木葬は魅力的な選択肢になります。

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