遺骨を伝統的なお墓に納骨をしない場合、寺院に納骨する方法があります。
納骨ができる寺院は多くありますが、今回は大阪市平野区にある大念佛寺での納骨について取り上げます。
大念佛寺の宗派である融通念佛宗についても解説します。
関西エリアで、納骨施設を探している方の参考になれば幸いです。
融通念佛宗とは
融通念佛宗とは、平安時代の末期に天台宗の僧侶・良忍が開いた宗派です。
耳にすることが少ない宗派ですが、日本の仏教の十三宗に含まれている伝統的有力宗派になります。
融通念佛宗の以前にあった宗派は、天台宗や真言宗などです。
これらの宗派は中国からの「輸入仏教」でした。
融通念佛宗は日本で発祥した初めての宗派です。
浄土宗や浄土真宗、曹洞宗・臨済宗、日蓮宗などよりも成立は古く歴史のある宗派となります。
「南無阿弥陀仏」の念仏を大切にして、浄土宗や浄土真宗と同じ「浄土系」です。
寺院数は357ケ寺で、ほとんどが大阪府と奈良県にあります。
(ちなみに最も多い寺院数は、浄土真宗本願寺派で10,310ケ寺です。)
そのために、関西エリアでも寺院を目にすることが少ない宗派です。
大念佛寺について
大念佛寺とは融通念佛宗357ケ寺の本山になります。
現在の寺地に定まったのは1615年(元和元年)です。
大念佛寺のある平野区は、大阪市の東南部に位置して、人口は市内で第1位で住居地域になります。
お寺のある平野地区は、平安時代から開けた交通の要衝として商業が発展したエリアです。
江戸時代初期の町割りの一部は現在まで継承されて、お寺の周辺は他にも寺社も多く、昭和初期の町屋も点在して、歴史的な雰囲気があります。
山門は1706年(宝永3年)に再建された江戸初期の建築です。
南門は大念佛寺の境内で最も古い建築物になります。
元は江戸時代初期の古河藩陣屋門で、1927年(昭和2年)まで平野小学校の正門として使用されていました。
現在の場所には、1962年(昭和37年)に移築されました。
本堂は1938年(昭和13年)に建造された総ケヤキ造り銅板葺きの木造建築です。
大阪府では最大の木造建築であり、2021年(令和3年)に大阪市指定有形文化財に登録されました。
2024年(令和6年)7月まで改修工事を行っています。
現在は本堂で参拝することができません。
以前に取り上げた北御堂と南御堂の本堂などは、1945年(昭和20年)の大阪大空襲によって全焼しましたが、こちらの大念佛寺は戦災による焼失はのがれました。
そのために、寺院には古い建造物が多く残っています。
寺院にあるのは伝統的な建築物だけではありません。
毎年5月1日から5日まで「万部おねり」は大阪市の無形民俗文化財に登録されている伝統行事があります。
毎年8月第4日曜日の午前10時から午後4時まで、一年に一度だけ開館する「幽霊博物館」も有名です。
大念佛寺の行き方
住所は「大阪市平野区平野上町1丁目7−26」です。
JR大和路線「平野駅」南口から、南に徒歩で5分
Osaka Metro 谷町線 「平野駅」①・②号出口から北へ8分
車では国道25号線の「大念佛寺北」を南に約100メートル、もしくは国道479号線沿いにある「ライフ平野西脇店」の交差点を東に入ると約70メートルで無料の駐車場がどちら側にもあります。
大念佛寺の納骨
大念佛寺では3種類の納骨があります。
いずれの方法も、宗派を問わずに納骨できます。
楽邦殿と呼ばれる納骨堂で、全ての納骨が行われます。
注意することは、まとめて最後に記しています。
一般納骨
最も安価な供養の方法です。納骨された遺骨は合祀されて、楽邦殿で供養されます。
合祀なので、納骨後は引き取ること、他の納骨方法に変更することはできません。
骨壺の大きさと、納骨する際の僧侶の人数で金額が変わります。
本骨壺(2・3寸)で3~5万円
胴骨壺で5~7万円
胎内仏納骨
大念佛寺での特徴ある納骨方法です。
胎内仏納骨の由来は、お墓に納める遺骨とは別に、遺骨の一部をお寺で供養する風習が元になっています。
遺骨を手のひらサイズの金色の仏像に納め、後日さらに大きな仏像の台座へ個別に納めます。
大きな仏像は楽邦殿に安置されています。
楽邦殿には複数の仏像が安置されて、どの仏像にご先祖の遺骨が納められているか分かります。
納骨されるのは、毎年11月3日の胎内仏開眼法要です。
法要の様子は大念佛寺のホームページに掲載されています。
金額は10万、11万円のどちらかです。
本堂のご本尊の扉を開帳して回向をする場合は13万~28万円になります。
金額の差は、僧侶の人数によります。
胎内仏納骨では、一般的な大きさの骨壺(胴骨壺と呼ぶそうです)では納骨できません。
上記で述べた通りに、遺骨の一部を納骨することが前提になっているためです。
お墓の代わりに納骨する場合は、上記の一般納骨になります。
合祀には抵抗がある方は、胎内仏納骨と一般納骨を組み合わせることもできます。
特別保管納骨
上記2種類の方法と異なり、1年ごとに更新する納骨方法です。
楽邦殿で預けて、引き取ることも可能です。
納骨するまで、自宅で遺骨を安置できない方が利用する方法になります。
胎内仏納骨に変更することもできます。
骨壺の大きさなどで金額が変動します。
納骨をする際に気をつけること
受付時間は毎日午前9時30分から午後4時ですが、寺院の大法要の日は納骨できません。
予約をしなくても納骨できますが、混雑を避けるには事前の予約がオススメです。
納骨の際に回向も合わせて行うので、法要に適した服装を着用して、数珠も持参してください。
数珠は男性用と女性用があります
納骨以降のお参りできる時間は、午前9時30分から午後4時30分になります。
楽邦殿は境内にあるので、山門が閉まっていると入ることができません。
最後に
今回は大阪市平野区にある大念佛寺での納骨について取り上げました。
私自身がお墓を建てるつもりがないので、自身のためにも調べました。
お寺の境内を散策すると、本堂は改修中でしたが、歴史のある場所と実感できます。
このような場所に納骨するのはアリだなと思え、実際に足を運んだ甲斐がありました。
多くの場所で納骨できるので、即断することは困難です。
生活環境や家族構成で、最適な納骨施設と納骨方法は異なります。
後悔ない選択をするためには、色々と調べて比較することが大切です。
大阪には歴史のある寺院が多くあり、納骨できる場所も多くあります。
納骨できる場所は、寺院以外にもあります。
比較して検討するためにも、これからも調べて参ります。
気付いた点や、ご意見などございましたら、お問い合わせフォームからご指摘ください。
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