湯灌は本当に必要?現役葬祭ディレクターが必要か?不要なのか?分かりやすく解説

お葬式の基礎知識
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葬儀の事前相談や、実際の打ち合わせの際に
「湯灌(ゆかん)はどうされますか?」
と聞かれ、戸惑った経験はありませんか。

湯灌は「故人をきれいな姿で送りたい」という想いから選ばれることの多いサービスですが、
必ずしもすべての葬儀に必要ではありません。
実際の葬儀では、湯灌を行ってよかったケースもあれば、
「やらなくても十分だった」「強引に勧められて迷った」という声も数多くあります。

私は現役の葬祭ディレクターとして、
湯灌が“必要な場合”と、“無理に選ばなくてよい場合”の両方を見てきました。

この記事では、
・湯灌が必要になるケース/不要なケース
・費用が高くなる理由と注意点
・エンバーミングやラストメイクとの違い
・後悔しないための判断ポイント

上記を、業界の内側を知る立場から、できるだけ分かりやすく整理します。
今回の記事で、「自分たちの場合は湯灌を選ぶべきかどうか」を冷静に判断できるようになるはずです。

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湯灌(ゆかん)とは?葬儀での役割

湯灌では、故人の身体を温かい湯で流し清め、身支度を整えます。
本来は「逆さ水」を用いて、近親者が行う習俗的な意味合いが強い儀式です。
日本の葬儀文化として広く行われていますが、 宗教や宗派、地域の慣習によって儀式の内容や解釈が異なることがあります
仏教でも宗派ごとに儀礼観や儀式の細かい作法が違う場合があり、神道やキリスト教では別の考え方・進め方になることもあります。

現在では「故人をきれいな姿で送りたい」という心理的な要素が大きくなっています。
近親者が行うことは少なくなり、「湯灌師」「納棺師」と呼ばれる専門家が、それぞれの状況に合わせて対応します。
つまり、専用の設備を用いて専門家が行う商品サービスなので、専門家がいなければ「湯灌」を販売できません。
そのため、専門家がいない地域では、家族などが湯灌を行うことも少なくありません。

湯灌が「必要になる」ケース|現場で多かった実例

湯灌を提案できるケースには、ある程度の傾向があります。

  • 長期入院で清拭のみが続いた場合
  • 希望する衣装への着せ替えで専門家の介添えを希望する場合
  • 表情や身体の状態を整える専門家による処置が必要な場合
  • 本人・家族が「入浴を重視する価値観」を持っていた場合

湯灌が「不要となる」ケース|無理に選ばなくていい理由

一方で、湯灌が必須ではなく、行わなくても問題のないケースも多くあります。

  • 家族葬・火葬式で費用を抑えたい
  • エンゼルケア(病院での処置)などで十分整っている
  • 故人の状態が良く、家族が行う化粧だけで十分きれいになる

実際に、湯灌を行わずエンゼルケアのみでお見送りされたご家族から
「十分きれいだった」「無理にやらなくてよかった」という声も多く聞きます。

ご遺体の状態が悪いと、お湯で全身を温めると腐敗が進行することもあります。
しかし、湯灌師が古式湯灌やラストメイクで対応するので過度な心配は不要です。

湯灌をしなかったからといって、
故人への想いが足りないわけでは決してありません。

湯灌の費用相場と「高額になる理由」

湯灌の費用は 5万〜15万円前後 が一般的ですが、なぜ金額差が大きいのでしょうか。
実際には以下の要素で価格が変わります。

「古式湯灌」と「浴槽(シャワー)湯灌」の違い

「古式湯灌」とは、濡らした脱脂綿やタオルなどでご遺体を拭いて簡易的に清める方法です。
「浴槽湯灌」では、ご遺体を専用の浴槽に寝かせてお湯を使い洗髪・全身を洗い清めます。
専用の設備が必要で、時間もかかる浴槽湯灌は古式湯灌よりも高額になります。

人数

一般的には2名で対応しますがご遺体の大きさにより、スタッフの人数が異なります。
スタッフの人数が増えるほど、費用は高額になることもあります。

追加オプション

故人様に着せる衣装を、葬儀社が手配すれば費用は上乗せされます。
白装束などにこだわりがなく、故人の愛用の衣装を用意すれば費用は不要です。

他にも、ご遺体の臭いを抑える消臭剤、消毒剤など棺に納める様々なオプションが提案され
想像以上に高額になる場合があります。

湯灌とエンバーミング・ラストメイクの違いを比較|どれが向いている?

湯灌については上記で説明した通りです。
故人の身だしなみを整える他の方法には、「エンバーミング」「ラストメイク(死化粧)」の選択肢があります。
それぞれの目的と内容は異なるので、混同しないよう違いを整理することが大切です。

エンバーミングとは

エンバーミングは、防腐処置を目的とした専門的な処置です。
血液の入れ替えや薬剤処理を行い、腐敗の進行を抑え、長期間安定した状態を保つことができます。

海外では一般的ですが、日本での普及率は約5%(2024年)と、
10日以上の安置が必要な場合
海外への搬送が必要な場合 などに選ばれることが多い方法です。
遺体の状態を維持する効果がある一方で、
専門施設・専門技術が必要となるため、費用は比較的高額になります。

エンバーミングについては、以下の記事で解説しています。
【関連記事】エンバーミングは後悔する?湯灌との違い・必要性・費用を葬祭ディレクターが解説

ラストメイク(死化粧)

ラストメイクは、メイクや整髪によって故人の表情や外見を整える処置です。
専門家が対応すれば費用が発生し、ご遺族が行えば無料です。
最も一般的で、多くの葬儀で取り入れられている方法 といえます。

大掛かりな処置は行わず、
・顔色を整える
・表情を穏やかに見せる
・身だしなみを整える
といった目的で実施されます。

湯灌・エンバーミング・ラストメイクの違い

項目湯灌エンバーミングラストメイク
主な目的外見の整え・身体の洗浄消毒・防腐・長期安置外見の整え
処置内容全身洗浄・着替え・メイク外科的処置・着替え・メイクメイク
費用目安低~中
実施の規模
一般的な実施頻度希望制限定的多い
湯灌・エンバーミング・ラストメイクの違い

後悔しないための注意点|口コミなどで見かけるトラブルと防ぎ方

葬儀社の強引な営業

湯灌は体を清め、外見を整えるサービスなので、本来は1回の処置で十分です。
しかし、7日程の火葬待ちの状況で複数回の湯灌を勧められたとの話を聞いたことがあります。

「故人様にも毎日お風呂を入れてあげるのが最後にできるご奉仕です」
などの言葉で勧められて、断り辛い状況にされたようです。
SNSでも似たような投稿がありました。

湯灌の本来持つ儀式的な説明をせずに、湯灌=入浴とミスリードする悪質な手口です。
このように、悪徳葬儀社は不要なサービスを販売して高額請求を行います。
高額請求での後悔を防ぐには、適切な葬儀社を選ぶか、知識を持ち自衛するしか方法はありません。

悪徳葬儀社の他の手法については、以下の記事をご確認ください。
【関連記事】悪徳葬儀社に騙されないための5つのチェックポイント

サービス内容を事前に確認していない

湯灌はご遺体を着衣を脱がせて、全身を清めるサービスです。
他人である湯灌師に故人の体に触れられたり、見られることに心理的な抵抗がある家族には不要でしょう。
葬儀社から「故人様の外見を整えるサービス」としかされていなければ、後悔に繋がるかもしれません。

追加料金が発生する

湯灌はプランに含まれることは少なく、オプションとして販売されるサービスです。
葬儀費用を抑えたい方には、慎重な判断が必要です。

湯灌が必要かどうかを判断する3つのチェックポイント

ここまで読んで、「湯灌は本当に必要なのか?」と感じている方も多いと思います。
湯灌を行うかどうか迷ったときは、次の3点を整理してみてください。

以下の3つのすべて「YES」であれば、湯灌は必要だと思えるでしょう。
どれか一つでも迷いがある場合は、無理に選ばなくても問題ありません。

① 故人の身体の状態

  • 清拭やエンゼルケアだけで十分整っているか
  • ご家族が見て「このままで大丈夫」と思える状態か

② 故人・家族の価値観

  • 生前に入浴や身だしなみを大切にしていたか
  • きちんと整えて送りたいという思いが強いか

③ 葬儀全体の優先順位と費用

  • 費用をかける価値があると納得できるか

まとめ|湯灌は「必要な人には大きな意味があるが、不要なこともある」

湯灌は故人の身体を整えるだけでなく、
ご家族の気持ちに区切りをつけるための儀式でもあります。
一方で、すべての方に必要な処置ではなく、
ラストメイクや家族による化粧だけで十分なケースも少なくありません。

大切なことは、「勧められたから選ぶ」のではなく、
自分たちにとって本当に必要かどうかを理解した上で選ぶことです。

この記事が、
湯灌を「やってよかった」「やらなくても後悔しなかった」
どちらの選択であっても、
納得できる判断をするための材料になれば幸いです。

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