【THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める】を読みました。

REGRETの和訳は「後悔」です。
後悔することが多い私にとって、後悔のない生活を想像することはできません。
後悔を何とかする方法を知りたいと思い図書館で借りてきました。
とても良い本なので繰り返し読むために購入を考えています。
- 後悔しないように日々を送っている
- 後悔ばかりで疲れる
- 後悔などのネガティブな感情は不要だ
上記に該当する方におススメしたい本です。
「後悔」の正体と向き合う方法が具体的に分かりやすく書かれていました。
後悔とは
人間は実際になかった過去や未来を想像して、別の物語を創造することができます。
現実の状況を想像した物語と比較して不満な場合、周囲でなく自分の行動が責任だと感じたら後悔します。
「もし~~していれば・・・」
「もし~~しなかったら・・・」

行動しても、行動しなくても、自分の行動に不満を抱けば後悔を感じます。
後悔は不快な感情であり、うしろ向きな発想として捉えられています。
不快でネガティブな後悔と言う感情は敬遠された方が望ましいとされています。
そのために、「後悔しない~」「後悔のない」という言葉に人気が集まります。
後悔の効果
後悔は不快でネガティブな感情の1つです。
後悔を感情のまま放置しておけば、気分が沈み落ち込むだけです。
しかし、不快でネガティブな感情を回避しようと深く広く考えることができれば、
行動の選択肢が広がります。
後悔というネガティブな感情を媒体にすれば、行動を変えることができます。
感情が思考のためにあり、思考が行動のためにあるのだとすれば、後悔することにより、意思決定の質が改善し、課題に対するパフォーマンスが向上し、人生の充実度が高まる可能性があるのだ。
THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める より引用
深刻な後悔の種類
- ありたい自分になれていない、「機会」を追求しなかったこと。
- あるべき自分になれていない、「義務」を果たさなかったこと。
上記の「機会」と「義務」を追求・遂行できなかったことが、深刻な後悔の要因になります。
人は「機会」を追求しなかったことを深く後悔する傾向にあります。
一方で、ありたい自分を追求する「機会」は大事だが、
「義務」を伴わない人生は空疎であると記していたことが印象的でした。
深刻な後悔は以下の4種類です。
基盤に関わる後悔
基盤に関わる後悔とは、やるべきことを正しくやらなかった「機会」に関わることです。
決断の先送りや先見性のない行動は時間をかけて少しずつ積み重なり、取り返しのつかない状況に陥ることになります。
将来の価値を過小評価して、現在の価値を過大評価する行動によって、ある日「こんなはずではなかった」と大きな後悔を抱きます。
勇気に関わる後悔
勇気に関わる後悔とは、リスクをとって行動しなかった「機会」に関わることです。
チャンスを活かさずに行動をしなければ成長できません。
勇気を出して行動しなかったことは自己実現の幅を狭めて、後悔として大きく残ることでしょう。
道徳に関わる後悔
道徳に関わる後悔とは、「よい人間」としての行動をしなかった「義務」に関わることです。
家族や友人を傷つける発言・行動は、自身に跳ね返り深く痛めます。
つながりに関わる後悔
つながりに関わる後悔とは、友情や夫婦関係など人間関係の「機会」と「義務」に関わることです。
大切な人との関係が壊れたまま、その人が亡くなれば大きな喪失感を抱きます。
後悔と向き合う3つのステップ
後悔と向き合うには3つのステップがあります
セルフ・ディスクロージャー(自己開示)
後悔の内容を人に話したり、文章に書いたり、ボイスレコーダーに吹き込みます。
自己開示は、高血圧の改善・学業成績の向上・対処能力の向上などに関連があり、
後悔の重荷を軽くするのに効果的です。
後悔したことを文章に書きだせば、後悔の内容が具体的な言葉に転換され
道筋をたてて思考を整理することにも役立ちます。
セルフ・コンパッション
compassionの和訳は、「哀れみ」「思いやり」「深い同情」です。
セルフ・コンパッションとは
家族・友人を慰めるように、自分自身にも思いやりや慈悲を向けようです。
「人は誰でも完璧でなく、人生を失敗し、困難にぶつかるもの」と捉え、自分の欠点を嘆くのではなく、誰にでもあると考えます。
セルフ・コンパッションについては私自身が考えたことがありませんでした。
落ち込んでいる家族や友人には優しい態度で接することができますが、自分自身に同様の対応をすることは困難です。
自分を大事にする具体的な方法が示されて、非常に参考になりました。
セルフ・ディスタンシング
「自分と距離を取ること」が和訳です。
後悔を第3者の視点で自分の状況を捉えることで、感情に左右されることなく冷静に将来の行動の指針となる教訓を引き出します。
自分自身を3人称で呼ぶことが、心理的な距離を置くことができる簡単で効果的な方法だそうです。
本書ではセサミストリートのエルモのように、自分自身を名前で呼んでみることを例に挙げています。
他にもセルフ・ディスタンシング効果的な方法を3種類挙げていました。
3つのステップで後悔を情報として捉えれば、将来の意志決定を改善することができます。
未来の後悔を予測して行動する
いま適切な行動を取らなければ、将来いかに大きな後悔を抱くのか?
将来を想像して行動しようと筆者はススメてくれます。
獲得による喜びよりも損失による失敗や痛みを強く感じる「損失回避の心理」を利用します。

失敗する後悔よりも、挑戦しなかった後悔の方が大きくなります。
失敗や痛みを避けようと多くの情報を収集して十分に検討すれば、行動しないことによる後悔を回避することに有効です。
しかし、過剰に将来の後悔への意識を向けすぎると、むしろ決断力を下げて行動が狭くなります。
筆者は後悔の最適化を目指そう提案してくれます。
「後悔するかも・・・」と考えればキリがないという状況を対象する方法です。
後悔の最適化とは
- 基盤に関わる後悔
- 勇気に関わる後悔
- 道徳に関わる後悔
- つながりに関わる後悔
上記の4種類の後悔に関することに予測の時間と労力を割き、それ以外については予測しないことです。
感想と面白かった点
将来の意志決定の材料として、後悔を活かそうという内容でした。
性的な行動に関しては、
男性は行動しなかったことに後悔して
女性は行動したことに後悔したとの性差が面白かったです。
最初の直感を信じずに訂正した方が正解率が上がった「最初の直感をめぐる錯誤」など、
本書では随所に予想と異なる意外な調査結果が載っていて、感情に関する研究は奥が深いと感心しました。
後悔という自分の中で対応不能な感情を知ることができ、非常に勉強になりました。
後悔への理解を深めると、いつからでも人生に役立てることができます。
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